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東京大学、国立がん研究センター研究所、コニカミノルタ、グローバル最先端の次世代がん遺伝子パネルに関する共同研究開発を開始

 東京大学先端科学技術研究センター 油谷 浩幸教授および当時の東京大学大学院医学系研究科 間野 博行教授(現国立がん研究センター研究所 細胞情報学分野長)が中心となり開発してきた世界最先端の東大オンコパネルを基盤とし、コニカミノルタグループの米国Ambry Genetics Corporationが保有するグローバルな遺伝子診断技術の知見を融合させる共同研究開発を行い、世界最高峰の次世代包括的がん遺伝子パネル検査を開発する。

 DNAパネルにおけるがん原性の体細胞遺伝子変異の対象の多さとRNAパネルにおける融合遺伝子検出解析等とに強みをもつ東大オンコパネルと、コニカミノルタ傘下で、生殖細胞系列遺伝子変異検出技術で世界をリードし、世界に先駆けて生殖細胞系列遺伝子変異を評価するRNA検査を商品化した米国Ambry Genetics Corporationの強みを掛け合わせたシナジー効果が期待される。

 開発された次世代包括的がん遺伝子パネル検査は、日本のがんゲノム情報管理センター(C-CAT)のがんゲノム情報レポジトリー(※1)の拡充に寄与する。さらに、コニカミノルタがグローバルに展開・普及させることにより、世界レベルでのがんゲノム情報蓄積を図る。これらにより、日本人特有の遺伝子変異の解明、革新的ながん治療法や診断法の開発、新薬の創出、患者の生活の質(Quality of Life:QOL)の向上や、膨張する医療費の抑制などへの貢献をめざしている。

 本共同研究開発により、がん遺伝子パネル検査の高機能化を推進するとともに、ゲノム分野の医療技術開発を牽引する産学連携を強化する。これまで米国を本拠地として遺伝子診断事業を大きく展開してきたコニカミノルタは、日本のがんゲノム医療体制の推進に本格的に参入する。


■発表内容

① 研究の背景

 次世代シークエンサーの発展および国際的ながんゲノム研究の進展により、がん組織の中の多数の遺伝子を同時に調べ、がん組織の遺伝子変異を明らかにする、がん遺伝子パネル検査が実用化されてきた。がん遺伝子パネル検査によって明らかになったがんの遺伝子変異に合わせて治療を行う「がんゲノム医療」を提供する体制が、日本でも推進されている。がんゲノム医療はまだ始まったばかりであり、発展を加速させるためには、より包括的な変異情報を取得・解析するプラットフォームとしての包括的がん遺伝子パネル検査の開発が望まれる。

② 共同研究開発の狙い

 本共同研究開発の狙いは、東京大学先端科学技術研究センター 油谷 浩幸教授および当時の東京大学大学院医学系研究科 間野 博行教授(現国立がん研究センター研究所 細胞情報学分野長)が中心となり開発してきた世界最先端の東大オンコパネルを基盤とし、コニカミノルタが保有するグローバルな遺伝子診断技術の知見を融合させることで、世界最高峰の次世代包括的がん遺伝子パネル検査を開発することにある。特に、がん原性体細胞遺伝子変異の対象の多さと融合遺伝子検出等のRNA解析とに強みをもつ東大オンコパネルと、コニカミノルタ傘下で、生殖細胞系列遺伝子変異検出技術で世界をリードし、世界に先駆けて生殖細胞系列遺伝子変異を評価するRNA検査を商品化した米国Ambry Genetics Corporationの強みを掛け合わせたシナジー効果が期待される。

③ 社会的意義

 開発された次世代包括的がん遺伝子パネル検査は、日本のがんゲノム情報管理センター(C-CAT)のがんゲノム情報レポジトリーの拡充に寄与する。また、コニカミノルタがグローバルに展開・普及させることにより、世界レベルでのがんゲノム情報蓄積を図る。日本人特有の遺伝子変異の解明、革新的ながん治療法や診断法の開発、新薬の創出、患者の生活の質(Quality of Life:QOL)の向上や、膨張する医療費の抑制などへの貢献をめざしている。

 本共同研究開発は、油谷教授を研究代表者とし、東大オンコパネルのインフォマティクス基盤技術の強化開発を進める。間野分野長も引き続き本共同研究開発に参画し、RNA解析機能のさらなる機能開発を進める。コニカミノルタは、医療検査の品質管理や高精度なペア検査手法(※2)の開発を進める。

 また、コニカミノルタは、本共同研究開発で開発したパネル検査を日本で実施するために、国内での商用ラボの構築に取り組み、国内完結型遺伝子解析サービスの提供を目指す。


※1 がんゲノム情報レポジトリー

 C-CATが保有・管理するがんゲノム情報のデータベース。臨床情報も同時に受領・保管することにより、がんゲノム医療の品質を確保・管理するシステムとなる予定。保管データを利用した新しい医療の研究開発等が可能となる機能も構築予定。

※2 ペア検査

 がん遺伝子パネル検査において、がん組織中の遺伝子だけでなく血液細胞などの正常細胞中の遺伝子も同時に配列解析をする検査手法。がん組織特有の遺伝子変異の検出の精緻化のみならず、遺伝性腫瘍の原因となる変異の同定・評価も可能となる。

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